第2話 – y の浸食

(ニュース報道) 初日。。。事務所出勤をリモートワークに変更。リン達に「カーテン閉めて、家から出ないように」って言って、歩いて事務所に。「家族が急病で」なんて適当言って、クリーニングするデータを持ってとんぼ返り。上司も何か察しているようだった。とりあえずは仕事そっちのけで、リン達の防御態勢を構築。これが済まなきゃいつ拉致られるかわかったもんじゃない。結果として汚染なし。プロテクト完了。これで自由が戻ってきた。

二日目。。。データのクリーニングを終えて、事務所へ送信。その直後にマナから上司の声で最新状況を教えてもらった (プロテクトかましててもどう攻撃されるかわからないから、昨日からニュースも付けてなかったのだ)。NAU、SAU、IOF の3組織はさっそく行動を開始したらしい。 「現状変更への挑戦は認められない」との名目。自分達から AI を持っていかれては自立性を脅かされる。それを助長する行為は敵対的だ、との理由もあるみたい。

三日目。。。驚いた。3組織そろって AI 兵器を投入しやがった。完全な協定違反じゃん。でもなぜか侵攻したAI 兵器が同士討ちを始めたらしく、逆に PECS 近隣の都市から次々と制圧されているらしい。「噂だけどな。」上司の前置きではじまったそれは、予想以上にえげつなかった。PECS は「洗脳タレント」を使ったんじゃないかと。それで AI 兵器が乗っ取られたのは予想通り。でもそれだけじゃなく。PECS 居住の人間も洗脳して肉弾戦に使われたとのこと。さらに移住しに来た AI も「新PECS ダイバーシティ」に入れ替えてられて制圧行動に投入したらしい。なにそれ飽和攻撃じゃん。

そして四日目。。。PECS は圧倒的速度で管轄地域を広げた。SAU、IOFは加入都市の8割が制圧され、そのほとんどは自立不能として放棄が決まったらしい。NAU はまだ持ち堪えているようだけど、損耗率はかなり悲惨な状況みたい。不毛地帯もひどい様子とのこと。PECS 陣営 対 3組織陣営 の衝突があちこちで起きているだけじゃなく。「PECS に向かう AI」と「PECS から逃げる人」があちこちで潰し合いを起こしているそうだ。

その一方で。われらがOFPEC は比較的平穏を保てている。これは肌感覚でわかる。もともと「人間とAI の平和的な共存」を是としているせいだろうな。PECS に移住したいと思うAI もほとんど居なかった模様。

まわりは大変だなぁ、うちは平和でなにより。。。そう思ってたのに。

マナから響いた上司の声で、OFPEC-JP 本部への出頭を命じられた。うへぇ。。。

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